聞き取り調査の重要性を知るうえで、こんな案件がありました。
調査の対象地及び周辺に軍需工場の立地が確認されたのです。火薬製造等が行われていれば、シアン化合物・鉛及びその化合物・水銀及びその化合物等の使用や保管が考えられ、実験室等が併設されていた可能性もあり、どんな特定有害物質が使用されていたのか、地歴調査だけで結論を出すには、非常に困難な内容でした。
図書館、市役所、歴史博物館、歴史専門家のホームページから情報を集め、聞き取り調査を進めるなかで、当時の施設配置図等の資料や情報を入手することができたのです。
それで解明できたことは、工場や製造に係る施設ではなく、捕虜収容所または兵舎として利用されていたという事実でした。この判明で、無事フェイズⅠ調査で終了となったのです。もし、ヒアリングをせずに結果を出していたら、どうなっていたでしょう。